東洋医学のおはなし 経絡・ツボ

経絡(けいらく)と言われても、何だかピンときませんよね。

簡単に言うと、全身を巡る「ツボとツボを繋いだ道」の事です!
主なものは手足に6本ずつで12本あり、「気(き)」と「血(けつ)」が流れていきます。
「気」とは、生きるためのエネルギー、
「血」とは、血液のような栄養物質、と考えてください。
東洋医学では、この経絡の流れが整うと、元気になると考えられています。
経絡は内臓とカラダの表面をつなぎ、全身を巡っています。
例えば、肺なら肺経、腎臓は腎経、肝臓は肝経・・・という感じです。

肺経→大腸経→胃経→脾経→心経→小腸経→膀胱経→腎経→心包経→三焦経→胆経→肝経と流れ、
最後に肺経に戻ります。
経絡の流れを整える事で、骨格の症状だけでなく内臓も元気にしていくことができるのですね。

ツボはこの経絡上にある反応ポイントです。
ツボを押すと気持ちが良かったり、体調が整うのは、ツボ刺激により気血の流れがスムーズになるからです。
ツボ刺激は、押す、たたく、さするなど様々な方法があります。
あまり知られてはいませんが、「意識を集中させる」という方法もあります。
背中などなかなか自分で手の届きにくいツボは、そこに意識を集中させるだけでも、気血の流れが促進されるのです。
ですので、ツボを押しながらその感覚に集中すると、より効果が高まるというわけです。
「感じる」ことが大切なのですね!

テレビを見ながら。。。ではなく、短時間でも良いので、ぜひ意識を集中させてやってみましょう^^

五臓六腑

少し難しい話になりますが、五臓六腑という考え方をお話しておきますね。 五臓とは、肝、心(心包)、脾、肺、腎
六腑とは、胆、小腸(三焦)、胃、大腸、膀胱
これらを各経絡が繋いでいきます。 臓腑はそれぞれが表裏の関係にあります。 例えば、肝が元気になれば、胆も元気になるのです。
分かりにくいかもしれませんが、西洋医学の臓器の考え方とは少し異なり、臓腑はその性質や機能を表します。

五臓

                   
血を貯蔵し、消化機能を調整し、精神を安定させる
心(/心包) 血液循環を円滑に行い、精神活動を行う。五臓六腑を統括する。(心包/心と同じような働きで、心を助けている。)
飲食物の消化と運搬をする。血を調整する(出血の防止)。
気をつかさどり、呼吸を行う。気血や体内水分の分布を司る。
生命活動を維持するために必要な精気を貯蔵し、生長、発育、生殖に深く関わる。水分代謝を調整する。

六腑

胆汁の分泌、貯蔵、排泄をする。肝の命令を受け、排泄をし、脾と胃の作用を助ける。決断力を司る。
小腸(三焦) 大腸とともに胃の一部として食物を消化する。(三焦/気と津液の通路。免疫機能もある。)
脾の命令を受け、食物を消化し、気・血を作る。
大腸 便を形成し、排泄する。
膀胱 尿を蓄え、排泄する。

陰陽の考え方

陰陽とは、世の中のありとあらゆるすべてのものは「陰」と「陽」に分けられ、 そのバランスによって成り立っているという考え方です。

<陽> 太陽・昼・温・熱・男性・背 <陰> 月・夜・寒・冷・女性・腹 このように、陰陽は相反する性質を持っていますが、どちらが良い悪い、ではなく、大切なのはバランスです。

また、お互いがお互いを助け合いながら育てる関係でもあります。
どちらか一方がなくなると、もう一方が存在できなくなるのです。
例えば、夜がなければ、昼という認識はできないですよね。
つまり、どちらも必要な存在、であるわけです。
私たちのココロとカラダにも陰陽があります。
頑張りすぎていると「陽」に傾きがち、反対にやる気が出ないときは「陰」の気が多くなっているのです。

ストレッチやヨガのポーズでの動きが陽であれば、リラクゼーションの時間は陰になります。
この陰陽のバランスを上手に組み合わせる事で、カラダの中の陰陽を整え、自然治癒力を高める事ができます。

また、動きの中にも陰陽があります。
上へ伸びていくような動きや開く動きは陽、下へおろしていく動きや閉じる動きは陰となります。
どちらもバランスよく取り入れることが大切です。

そして呼吸にも陰陽があります。
吸ってとめる 陽のエネルギー補給、はいてとめる 陰のエネルギー補給。
陰陽呼吸法により、調整する事ができます。

五行の考え方

宇宙に存在しているすべてのものを「木」「火」「土」「金」「水」とう五つの要素に分類し、 その相関関係であらゆることを説明します。
5つの要素は、お互いに助けあったり、抑制しあったりする関係があります。


<相生(そうじょう)> 助けあう陽の関係
木は火を生じる 木は燃えて火を生む。
火は土を生じる 物が燃えて灰となり、灰は土に還る。
土は金を生じる 金属・鉱物の多くは土の中にあり、土を掘ることでその金属を得ることができる。
金は水を生じる 金属の表面には凝結により水が生じる。
水は木を生じる 木は水によって生長する。水がなければ木は枯れてしまう
<相克(剋)(そうこく)> 抑制しあう陰の関係
木は土を抑える 木は根を土の中に張って、養分を吸収し土地を痩せさせる。
土は水を抑える 土は水を濁す。また、土は水を吸い取り、あふれようとする水を堤防でせき止める。
水は火を抑える 水は火を消し止める。
火は金を抑える 火は金属を熔かす。
金は木を抑える 金属で作った斧や鋸は木を傷つけ、切り倒す。
五行は五臓においても、相生・相克の関係を生かし、病気の予防や治療に応用されています。

五行・・・ 木  火  土  金  水 五臓・・・ 肝  心(/心包)  脾  肺  腎

例えば、「肝」の勢いが強くなりすぎると、「脾」が弱り(相克)、「肝」が弱ると「腎」がその力を補ってくれます(相生)。
このようにカラダの中の臓腑は、常にお互いにバランスをとりながら働いています。

感情(ストレス)と内臓の関係

東洋医学では、ココロとカラダは切り離しては考えられないとし、感情(ストレス)も病気の原因になると考えてきました。

喜 ・ 怒 ・ 憂 ・ 悲 ・ 恐 ・ 驚
感情の変化を七つにわけ、これらを七情と呼びます。 どれも日常で誰にでも起こりうる感情ですが、これが度が過ぎたり長期間続いたりすると、
内臓(五臓)を傷つけてしまうと考えられています。

喜―心 気が緩む(集中力が低下する) 喜びすぎると「心」を傷つける。心の症状、心臓の発作。
怒―肝 気が上がる(頭に血が上る) 怒りすぎると「肝」を傷つける。肝の症状。高血圧。
思―脾 気が固まる(気が停滞する) 思い悩みすぎると、「脾」を傷つける。脾の症状。消火器の疾患。食欲不振。
憂―脾 気は縮む(気をもむ) 憂鬱がすぎると、「脾」を傷つける。脾の症状。消火器の疾患。食欲不振。
悲―肺 気は消える(気力がなくなる) 悲しみすぎると「肺」を傷つける。肺の症状。呼吸器系の疾患。
恐―腎 気は下降する(恐ろしくて腰が抜ける) 恐怖がすぎると「腎」を傷つける。腎の症状。尿失禁。
驚―腎 気は乱れる(気が動転する) 驚き感情が乱れると、「腎」を傷つける。腎の症状。感情不安定。
喜ぶはなぜ?と思いませんでしたか?
私も思いました。
例えば宝くじに当たって、気絶してしまう、など。
喜びも度が過ぎれば、心(心臓や脳)に変調があります。 心気が緩み、集中できなくなる、ということです。
何事も、過ぎたるは及ばざるが如し、という事ですね。

東洋医学の全体統一観

東洋医学では、さまざまな原因で起こるカラダの不調は、 そのカラダの一部が問題なのではなく、流れの滞りによるものだと考えます。
体内を巡る流れがスムーズでないために、どこか一部にひずみ(症状)が生じ、 バランスが悪くなっている状態、と捉えるのです。

足や腰、肩だけ、というような部分的な治療ではなく、カラダを一つとみなし、 ココロの詰まりも含め、全身の流れを整え根本的に正常な状態へ戻していきます。
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